終わらない白昼夢〜20代はチル・ウェイヴ世代〜
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チル・ウェイヴという音楽ジャンルをご存知でしょうか?
2009年頃から2012,3年頃まで、一つの潮流となっていましたが、今では全く名前を聞かなくなってしまいました。
なぜ、消えてしまったのか?
そして、この音楽ジャンルの持つ圧倒的素晴らしさと美しさとは何なのか?
音楽史に大きな革命をもたらしたこのムーブメントと、押さえておくべき名盤を紹介します。
チル・ウェイヴとは
きっかけはインターネットで、夏を思わせるロウファイな曲が次々と放たれました。
まずは、ブログカルチャーがこのシーンを大きく推進することになりました。
MyspaceやYoutubeなどの動画配信サイトの拡大に伴い、アマチュアながら、音源を投稿しだす人が急増したのです。
基本は打ち込みのサウンドをメインに、ノスタルジックなメロディーが盛り込まれています。
まさに、夏の終わりの何とも言えない物悲しさを感じる。
これは、個人的に大好きなチル・ウェイヴの代表格「Neon Indian」というアーティストの曲。
この一曲にチル・ウェイヴのエッセンスが詰まっているので是非聞いてほしい!
この曲は本当に何回聴いても古びない。
ずっと瑞々しさがあり、毎回何か懐かしさを掻き立てられること必至です!
音楽史と時代背景から見たチル・ウェイヴ
その中でも特に筆頭となるのは「The Drums」。
今でも、数多くの名盤をリリースし、勢いは衰えること知らず!
聴いたこと無い人は是非この機会に!
サーフロックは往々にして、夏を過去の思い出、もしくは欲しくても手に入らない憧れの対象として音楽で表現していました。
インディロックという、マイナーな環境で音楽を作り続け、少なくない挫折を経験しながらも輝きを求めて日々生きていることが夏へと心を駆り立てたのかもしれません。
そして、このサーフロックの勢いに便乗する形で、チル・ウェイヴも大きな潮流となりました。
僕も「夏=切なさ」ととらえているところがあって、過去記事にも書いた通り。
すごい気持ちが分かります。
また、音楽は、世相を反映していることが多くあります。
例えば、ベトナム戦争に代表される戦争が行われた1970年代には、気持ちを爽快にさせるハードロックが大きなムーブメントになりました。
しかし、段々このジャンルが大きくなるにつれて、複雑な技巧に頼るようになっていきます。
そのアンチテーゼとして1970年後半に生まれたのが、ピストルズに代表されるパンクロック。
3コードのシンプルなバンドサウンドが世界的に大流行することに。
この様に、音楽は世の流れやブームの影響を受け、前進し続けています。
この理論でチル・ウェイヴを考えてみると、一つ影響として考えられるのが、2008年リーマンショック。
この影響でアメリカもとい世界中に経済危機が訪れました。
こういった中で、アメリカの若者は、将来への不安や、経済への不信感を抱き、ミニマルな暮らしぶりに変化する人も多く出てきました。
おそらく、こういった風潮の中で、宅録でミニマルな作りのチル・ウェイヴが受け入れられていったのかと。
そして、チル・ウェイヴを終焉に導いたのがEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)。
EDMが世界を席巻したのが、おそらく2012,3年頃。
PitbullやLMFAOやDavid Guettaなどに代表されるアーティストが世界的なブームになります。
これは、完全にミニマルなサウンドに対するアンチテーゼ!
チル・ウェイヴを好んで聴いていたのは、ある程度音楽リテラシーが高い「分かっている層」でしたが、EDMは音楽リテラシーが低い人にも極めて間口が広く、多勢に無勢でチル・ウェイヴは駆逐されてしまいました。
東北大震災の影響もあり、音楽に開放感を求めていたのかもしれません。
日本でも大流行しましたし、記憶に残っている方も多いんじゃないでしょうか。
チル・ウェイヴ必聴名盤2選
- アーティスト: ネオン・インディアン
- 出版社/メーカー: よしもとアール・アンド・シー
- 発売日: 2011/09/07
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 2回
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Neon Indian「Era Extrana」
Washed Out「Within&Without」
他にも数多くの名盤ありますが、とりあえずこの2枚押さえておけばOKです。
どちらのアルバムもメロディが美しく優美、何十回も聴きましたが飽きません。
(先程紹介したNeon Indianの曲もこのアルバムに入っています)
アンビエントミュージックやシューゲイザーロックからの影響を色濃く残し、独自のミニマルでポップな世界観を作り出しています。
ものすごい浮遊感と、夏の夕暮れや、昔見た海とか思い出しちゃう。
夜に部屋で一人で聴くと本当に泣きそうになるんだよな・・・
そして、どちらにも共通するのは宅録!
このクオリティのものを、自宅で作るなんて本当に凄い!
近年フリーランスなど個人で稼ぐ時代など言われて久しいですが、そういう意味でもこの2人の功績は大きいです。
個人の工夫と、たゆまぬ情熱で音楽シーンのような大きなものを動かすことができるのです!!
まとめ
チル・ウェイヴの様なサウンドはまだ出てきていますが、このジャンルはおそらく今はありません。
大衆音楽やK-POPの隆盛にかき消されてしまいました。
時代の狭間で、ぽっと奇跡的に生まれた文化だったのです。
ですが、音楽史に与えた功績や、リスナーに提示してくれた可能性の大きさは計り知れません。
僕は2009年頃高校生の時に、洋楽に出会いました。
そういう意味では、ド直撃世代です。
現在の20代は、思春期などの多感な時期が、ちょうどチル・ウェイヴ時代と被っています。
50代をクイーン世代と呼ぶ様に、30〜40代にバンドブーム世代と呼ぶ様に、20代はチル・ウェイヴ世代と呼べるのです!
20代はチル・ウェイヴ世代である!
わずか4〜5年の間を駆け抜けたジャンル、今から全部網羅することも可能!!
今からでも遅くない、聴くべし!!
ではでは!!